みなさん、こんにちは。長介です。
いかがでしょうか。
私はといえば、子供の成長にあわせ、小学校以降の教育について考えることが多くなっています。
小学生時代は、なかには中学受験の選択肢もあるなど、家庭にとっても環境変化が伴う時期です。そのため、幼児期の知育とは異なる考え方も必要になるでしょう。
あくまで、子供の能力を育てることを主眼に取り組むなか、「点数」への対応を迫られることもあるでしょう。
そこで、小学校以降の、子供の「能力」と「学力」との相関関係を探り、どのようにつなげてゆくかを、より具体的に考えてゆきたいと思っています。
そのためには、小学校以降の学校教育がどのようなもので、どのように行われているかを知る必要があります。
今回、考えたい学びのテーマは、「算数」です。
この「算数」は、教科として何を求め、また何が習熟に難しく、どうすればそれを習熟できるのでしょうか。実際の算数教育の指導にあたっている先生に、下記のアンケートを行いました。
対象:
小学生に向け、塾・学校で最低3年以上、「算数」を指導している教師:10名
なお、アンケートに答えていただいた教師の方々と、本サイトとの間に利害関係はありません。そのため、率直かつ現実的な回答が得られたことと思います。
今回は、これらの回答をもとに、私たち保護者が、家庭でどのように算数のトレーニングを進めるべきか、考察を深めたいと思います。
現在、私も、子どもの5歳以降の知育活動を思案している最中です。お子さんの、先々の算数学習に課題を感じられている方、一緒に考えてゆきたく願っています。
(続く)
【算数の先生10名が回答】小学生が苦手な算数のポイントは
指導経験が豊富な先生いわく、「算数」は、得意な子とそうでないことの開きがとても大きな科目だそう。また、中学受験という観点からは、国語と算数は、理科・社会に比べると、配点が大きい傾向もあるそうです。小学生以降、様々な場面で重視される科目といえるでしょう。
では、そのような「算数」のなかで、現在の小学生はどの点が苦手なのでしょうか。
塾や学校で指導経験がある先生たちは、下記のように考えています。
1位(60%) | 「 基本計算」:練習が足りず基本的な計算ができない |
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2位(20%) | 「文章題」:何を聞かれているのかわからない |
3位(10%) | 「概念理解」:長さ、広さ、かさ、重さの感覚が乏しい |
3位(10%) | 「思考力」:順序立てて考える力が足りない |
改善策は、5問~10問程度の計算問題を作り、大人がタイムを計ってあげることです。褒めながら行うと少しずつ計算に慣れ、スピードも上がります。文章問題の理解が難しい子には、普段からの読書などで、文章の理解力をあげるのがよいでしょう。しかし、それには長い年月が必要になります。この文章題の理解を、さしあたって改善するためには、文章問題の内容を絵にしたり、図式化をし、式をつくるところまで導くと良いと思います。
計算は言ってしまえば慣れるしかありませんので、まずは、四則計算などをはじめとするルールを知り、実際に計算することが大事です。この際、ドリルなどでも良いですが、絵や図を描いて、具体物のように数をイメージできると良いでしょう。
改善方法は、ずばり反復練習です。練習をすることで、計算のイメージがつかめます。小学校1年生の時に、足して10になる反復練習をするように、以降も、新しいことを習ったあとは、何度も解くことが大事です。そうすれば、誰でもできるようになります。
反復練習を進める際、子供は、分からないことを自らできるようになろうとしないことがあります。その場合は、繰り返し行うことをある程度強制し、同じ問題でも覚えるほど行いましょう。そうすれば、必ずできるようになるでしょう。
改善の対処療法としては、「合わせて」の時は足し算、「ちがいは」と聞かれているときは引き算で計算するように教えています。しかし、慣れないうちはそれでもいいと思いますが、本来の読解力を養い、文章題を解く力を養うべきと考えます。
【算数の先生10名が回答】小学生の「算数」を得意にする知育活動は
小学生への指導経験がある先生からすると、子供たちの多くは、「計算」「文章題」「概念の理解」に課題があるようです。では、そのような課題の解決(課題を生まない)ためには、「幼児期からどのような知育活動をすると良いか」の質問をしました。
1位(60%) | 「かず」に触れる:「具体物」と「数」を結びつけるような日常体験 |
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2位(30%) | 「手」を使う:パズル、折り紙、塗り絵など、手先を動かす遊び |
3位(10%) | 「成功体験の積み重ね」:何度か行えば必ずできることを体感させる |
また、毎日紙に書いた数字を一緒に120まで読んであげることも効果的かと思います。最初は末尾が9以上になると桁が変わることが理解できなくても、繰り返し数字を読み上げることで感覚として身についていきます。
知育玩具の売り場には、文字・数字・アルファベットが描かれたパズルがたくさんあります。児童館などに、これらのおもちゃが置かれている場合もあります。こうしたおもちゃを使い、一緒に数を数えたり、重ねたりして力をつけましょう。
鉛筆がうまく持てるようになったら、プリントを通じて数字を書く練習をしておくと良いでしょう。
ですので、未就学児期から、必ずしも正解でなくてもいいので、様々な物事を考えさせることが大切だと思います。このように、できるだけ何かの根拠に基づいて考えさせることで、実際に算数に直面した時にも、物事の理由を考える土台ができると思います。
進め方については、算数に対して「かっこいい物」だという興味を持たせておくと、算数を毛嫌いすることなく取り組むようになるのではないかと思います。
1点目は、「繰り返し何かを行うことで確実にうまくなる」ことを体験させることです。遊びでも何でも構いません。同じパズルを何度もするでも良いです。こうして、「何度か行えば」必ずできる、「自分でやっていけば必ずできる」ようになることを体験させましょう。積み木遊びで高く積み上げるだけでも良いのです。
2点目は、「子供に考えさせるように仕向ける」ことです。「果物を切り分けるときにどう切ったら良い?」などと聞くと良いでしょう。一緒に工作するにしても、「これをどう組み立てる?」など、少し聞くだけで、考える力が育ってくると思います。
【算数の先生が回答】小学生以降の「算数」が得意になる非認知能力は
次に、小学生の科目「算数」で、得意になるための「非認知能力」にはどのようなものがあるかを質問しました。算数に活きてくる能力も決してひとつではないため、先生たちが特に影響すると考える能力を、複数、挙げてもらいました。なお、ここでは、ランキング形式でなく、回答数が多かった能力を列挙しています。人間としての土台的能力に言及される方、算数力そのものを伸ばすという観点から考えられた方と様々です。
想像力 | :「想像力」が乏しいと、視点を変えて問題を捉えることが難しい |
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思考力 | :「こうだから答えはこうなる」など、自分で説明できることが重要 |
集中力 | :どの問題においても求められる「計算」において、特に必要。 |
忍耐力 | :簡単にあきらめない力が大事。他の能力も、これに伴って伸びる。 |
空間認知力 | :算数に頻出する「図形」に関する問題で、特に必要。 |
解き方だけを覚えるのではなく、その解き方の根底にある法則性を自ら予測し、想像し、言葉にして他者に伝えることが出来るようになるには、普段から「なぜ」を持ちながら、その「なぜ」を解決するクセを身に着けておくことが重要だと考えます。
まずは、基本計算を繰り返し「根気」よく行えば、そのほかのことも、誰でもある程度は身に付きます。そして、少しでもできるようになれば、集中して問題に取り組めるようになり、総じて力が伸びてゆきます。
文章題などは、その場面が想像つくまで、何度も読むことが大事です。同じ問題を何度も考え、想像できると、計算式が作れるのです。このように、何度も繰り返す力「根気」が、とても大事だと思います。
「意欲」があれば、自然と質問したり自分で調べたりするでしょう。ただ、そのとき、わからない事が出てきた時に諦めては、算数に限らず、すべてが終わってしまいます。諦めずに問題に立ち向かう「忍耐力」があれば、自分の力を伸ばす事ができるでしょう。
【算数の先生が回答】先生も悩む「小学校の算数教育」の課題
小学校の「算数」指導の現場から、「小学校でやったほうがいいが、できない」という課題を挙げてもらいました。これを見越し、家庭での対応が必要かもしれません。
1位(60%) | 「本質的思考の育成」:回答方法を決めつけず、柔軟な回答を促す |
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2位(30%) | 「習熟度に応じた指導環境づくり」 |
3位(10%) | 「問題解決型授業前の導入を行う」:いきなり自分で考えるのは難しい |
学校によっては習熟度別にクラス分けしたり、TT(ティームティーチング)の先生が入ったりしますが、それでもレベルに合わない指導を受ける子がどうしても出てきます。幼少のころから公文式や七田式などで計算練習をみっちりやってきている子は、通常の子の何倍ものスピードで計算を終わらせてしまい、手持ち無沙汰です。かたや指折り数えても計算がなかなかできない子もいます。
個々のレベルにそった指導ができれば、算数の力は上がると思います。しかし、学校での習熟度別指導に反対の保護者も多く、実現が難しい現状もあります。
「解き方」を学ぶことは重要ですが、なぜそのような解き方になるのかを知ることが重要です。また、仮にその解き方で解けなくても、他にも解き方があることを教えることも重要です。
特に、小学校の算数授業においては、テストで教科書に載っていない解き方で解くと、答えが合っていても、減点されることがあります。これだと完全なマニュアル人間をつくる教育になってしまうでしょう。
「教科書を使わないで1時間に1問しか解かない。しかも、解き方は教えずに子どもに考えさせる」といった、このような指導方法は、さわりはよく聞こえるかもしれません。しかし、算数が苦手な子は、教わっていないわけですから全く手も足も出ず、逆に塾に行っているような子は分かり切っており、どちらの子も苦痛な時間となっています。現実的には、学力に多くの開きができ、また苦手意識を植えかねません。そして、なぜか、このような授業をする教師が、高い評価を得ています。
先生たちのこれらのコメントからも、算数という「学力」面から捉えると、「思考力」や文章を読む「読解・解釈力」が大事だとわかります。そして、その土台となる「忍耐力」「集中力」が大事だとわかります。
長介も、この「土台づくり」を重要視しています。
「教科」の学習を通じて、忍耐力や集中力を養うのもひとつですが、子供が好きなことや、ルールは簡単だけど時間がかかりそうなものを通じて、これらの能力を養うのも、方法のひとつです。
そのような、ルールは簡単だけど、時間がかかりそうなものとして適しているのが、具体物のパズルです。
長介は、子供が2歳になる前から、この具体物パズルを、子どもに提示してきました。そこから、「思考力」や「空間把握力」のみならず、「粘り強さ」や「集中力」を少しずつ養えたと振り返ります。
「算数」や「国語」という教科が目前にひろがると、その準備をしなくてはと駆られます。しかし、その根底にある能力を高めることに着目し、これを日々の日課とすることで、学力も必ず伸びてくると、先生たちのコメントも見ながら確信しました。
ぜひ、家庭のスキマ時間などを使って、一定時間、これらの非認知能力(想像力、集中力、忍耐力など)の養成を日課としたいものです。
いかがでしたでしょうか。
「さんすう」といっても、それは教科としてのテーマであって、その根底にある、想像力や思考力、また集中力・忍耐力といった能力が必要であることがうかがいしれます。
ぜひ、家庭でこの能力の向上に取り組んでいきたいところです。
皆さまの知育活動の一助になれば幸いです。
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