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【小学生を指導した国語の先生が回答】読解力を鍛える秘訣とは

 

みなさん、こんにちは。長介です。

子供も5歳になり、小学生になる時期が見えてきました。

我が子のこれまでの知育活動を振り返ってみると、1歳から4歳という短い期間であっても、知育活動の内容は変化・深化してゆきました。これが、学校教育がはじまると、教科としての学習もはじまり、多様化することでしょう。

その中にあって、主要な学習領域である「国語」。

恐らく多くの方が家庭で毎日使用し、馴染みがあるものだと思います。

ですが、その「国語」、意外にも苦手と感じる子供は多いようです。

いったい、「国語」の何が難しくて、どのように学習をすればよいのか。その周辺の理解を深めるため、下記のようにアンケートを行いました。

独自アンケート調査(2020年10月期)

対象:

塾・学校などで、「小学生向けの国語」の指導歴がある先生:10名

今回は、このアンケート回答をもとに、どのように家庭で「国語教育の進めると良いか」の考察を深めたいと思います。また、併せて下記の記事も参考となれば幸いです。

【子供を国語好きにしたパパママへ質問】国語力がアップする幼児期の知育活動は多くの方にとって母国語であろう「国語」に、苦手意識を持つ小学生は少なくないようです。子供を国語好きにしたパパママにアンケートを取り、国語を好きにするための知育活動を探りました。...

現在、私も、子どもの5歳以降の知育活動を思案している最中です。お子さんの、先々の国語学習に課題を感じられている方、一緒に考えてゆきたく願っています。

(続く)

 

【国語の先生が回答】小学生が苦手な国語のポイント

日本人の幼児の多くは、「国語」を母国語として、コミュニケーションを行います。おそらく、これまでの生活のなかで、子供が一番多く触れている分野であろう、コミュニケーションツールとしての「国語」。

ですが、「教科」として学習するようになると、とたんに苦手意識を持つようです。

では、一体どの点で、「国語」に苦手意識を持つのでしょうか。

塾や学校で国語の指導経験がある、10名の先生による回答は下記のようになりました。

 

【先生から見た】小学生の生徒が苦手なポイントは
1位(60%) 「解釈」:自分なりの理解ができない
2位(20%) 「発信」:特に口頭での発信(自分の意見を言う)が苦手
3位(10%) 「書き取り」:特に漢字の書き取りが苦手
3位(10%) 「音読」

 

先生たちは次のように考えています
自身の指導から、子供たちの多くは、文章から自分なりの解釈・理解を得て、それをまとめることが不得手だと感じました。 それらの要因は、内容への興味が薄かったり、集中力がなく前後のつながりが途切れてしまったりすることにあると感じられました。
多くの生徒を指導し、「ただ文字を読んでいるだけ」と感じました。文章の状況をイメージして把握するのが苦手だと思います。例えば、セリフが出てきたとき、これは誰が話しているのかな?と聞いても答えられる子は少ないです。他にも、この話に出てくる町はどんな町かな?と聞いても、書いてないから分からないと答えられてしまいます。
物語の読解は多くの子どもが苦手です。読むことに耐性がない、人によって解釈が違う面白さに気付いていない児童が多いと思われます。実際に、情報を文章や表から読み取る力は、繰り返し練習することで慣れやすい一方、「ごんぎつね」や「大造じいさんとガン」などの物語文は、登場人物の心情を理解したり、意見を交わして読み深めることは苦手な子が多いです。
自分の言葉でまとめる作業が苦手な子が多いように感じます。読書感想文などは、その力が顕著に表れるような気がします。また、国語の文章読解においては、文章からの抜き出し問題はできても、「〇字でまとめなさい」などの問題は苦手な子が多いようです。
子供達は、物語文など声に出して読むことはできますが、読み終わった後の内容の要約が苦手です。また、内容についての質問をすると、頭の中で内容が整理されていないことが多々あります。特に時系列で話が進んでいない時の物語では、主人公以外の登場人物の心情や、主人公との関連性が曖昧であることもしばしば見受けられます。読むことだけに囚われて、内容を理解する力が弱いと思います。

【国語の先生が回答】苦手分野はこうやって改善へ

国語の力には、大きく分けると、「語彙力」、「読解力(文・話そのものを読む力)」、「解釈力(話の内容を把握する力)」、「発信力(作文や口頭で自分の意見を言う力)」のように大別できます。

このうち、先生たちの多くは、小学生の「内容を把握する力(解釈力)」に大きな課題があると考えています。そして、それらの苦手分野の解決に向け、先生たちは次のように考えています。

「集中力、関心を持たせる」など、子どもの個性に合わせた進め方が大事
改善を考えるのであれば、「文章内容から派生して色々な事を雑談等で話し、興味をひかせる」「文章の解読作業に区切りを入れて集中力を回復させる」等が良いと考えます。また、話の合い間に質問をし、理解のガイドを入れることで、生徒たちも意識して読むようになります。

解釈する力」を身に付けるために、「関心のあるテーマ」を掲示
対策としては、日常的に、言葉や表現、文章に親しむ生活をすることがあげられます。また、意欲的に取り組めるようなテーマで仲間と相談したり意見交換する機会を増やせるといいと思います。

読書と発信の習慣をつけ「まとめる力(解釈力)」をアップ
「話をまとめる」には、まず語彙力と読解力が必要です。読書などを通してそれらを鍛える必要があるでしょう。加えて、授業などで自ら発言する習慣をつければ、「話をまとめる」ことが上手になると思います。

「技術的に読む」ことに囚われないよう、普段から内容を楽しむ読書をする
まずは簡単なものでもいいので、自分が好きなジャンルの本を読むことです。小学校高学年であれば、「推理小説」も、頭の中で話をまとめる訓練にもなると思い、オススメです。

 

【国語の先生が回答】小学生以降の「国語」を得意にする知育活動は

小学生への国語指導経験のある先生からすると、読解・解釈に大きな課題が残るようでした。それでは、そのような課題を解決するためには、「幼児期からどのような能力を鍛えると良いか」のアンケートを行いました。

 

【先生から見た】国語を得意にするための知育活動は
1位(80%) 「本」に触れる:絵本・図鑑などを通じて
2位(10%) 「言葉に触れる」:なぞなぞ、かるたなどを通じて
2位(10%) 「伝える練習」:日常生活で、子供の発信を促す

 

先生たちは次のように考えています
親の読み聞かせは良いことだと思いますが、読むだけではなく、その話を聞いて子供がどう思ったのかなど、子供に発言させる機会を設けるとさらに良いと思います。本の感想を聞くでもヨシ、親が簡単な問題(何で主人公は楽しいと感じたのかな?など)を出すでもヨシ、一度子供の頭の中にとどまらせて考えさせるトレーニングをすると良いと思います。発言は言葉のトレーニングにもなります。
国語の教材を使ってやる前に、まずは一番興味のあるものや好きなものを題材にし、説明してもらう訓練が良いと思います。例えば、好きな漫画やアニメをまず聞き出して、どういうストーリーなのか、キャラクターは何人いるのか?などを細かく話してもらいます。そしてそれがどうして面白いのか、どんな部分が好きなのか?を言ってもらうようにします。
多くの本に触れることが大事です。最初は、文字もないような絵本だけでも良いのです。そして、本に慣れてきたら文字を増やし、さらに慣れたら一言でも良いので感想を言ってもらうようにします。感想ではなく、あらすじを説明するでも良いです。まずは本への抵抗を減らしましょう。
まずは読み聞かせが一番大切だと思います。登場人物は人間でも動物でもよいです。一話完結のものであれば、読み終わった後に登場人物になりきって、その後の物語を子供と一緒に演じてみるのも良いでしょう。本の中の登場人物がどのような性格であるかを理解し、この後に話が続くとしたらどのような展開になるのか、子供自身の想像力を膨らませることが大切です。一回の読み聞かせで終わらない本は、次の機会に読む時に「この前までの話はどうだった?」と問いかけ、子供自身の頭を整理させることも効率的な方法だと思います。本の内容をイメージすることと、内容を言葉で表現するという2つを連動させることが大切です。
言葉にふれる機会を増やすことと、人と関わることへの抵抗を減らすことが大事だと思います。身の回りの物や生き物、色などには名前がついていると理解し、言葉に親しむことで、語彙力につながります。好きなものずかんや本を一緒に見て名前を言ったり、触れてみる経験なども、感覚を広がりにつながると思います。 また、人と関わる楽しさを体験することは、自己意識の形成にとても重要です。保護者や友達と遊んだり、言葉を交わしたりする中で、ゆくゆくは自分を大切な存在だと思えるようになり、自分の意見を伝えたり、人の意見に耳を傾け、異なる意見も尊重できるようになっていくと思います。 子どもは遊びの中で多くの事を学びます。トレーニングと構えるよりも、本人の興味関心に沿って世界を広げていけると、自然に伸びていくと思われます。
【備考】絵本の読み聞かせは、本当に読解力・解釈力を育む?

自分で話の内容を掴む解釈力を養うためには、絵本の読みきかせが有効とのこと。

別途、子供を国語好きにした「親向けアンケート」の回答をとったところ、その傾向が伺えました。すなわち、ほぼ全員が読み聞かせをしてきた回答者のうち、自身の子供に「解釈力が課題」という回答は多くありませんでした。

【国語好きな子供の親が見た】子供が苦手分野は
1位(50%) 「書き取り」:特に漢字の書き順を覚えること
2位(15%) 「読解」:文法(倒置表現など)
3位(10%) 「解釈」
3位(10%) 「発信」:口頭・作文

※独自アンケート調査(2020年10月期)より 

※対象:自身の子供が国語好きと考えるパパママ20名

 

 

【国語の先生が回答】小学生以降の「国語」が得意になる非認知能力は

次に、「国語」を教科として学ぶ際や、言語として上手に使うためには、どのような非認知能力が影響するのでしょうか。特に影響する能力を二つ挙げてもらいました。

 

【先生が見た】国語を得意にするであろう非認知能力は
1位(80%) 想像力、思考力
2位(10%) 想像力、集中力
2位(10%) 共感力、忍耐力

 

先生たちは次のように考えています
国語には、想像力・思考力が特に大事です
どれも大切な要素ですが、想像力と思考力は、特に関係が深いと思います。 言葉と対象が結びついて、表現から情景が想像できるようになるには、日常生活にてある程度「言葉」に触れる必要があります。しかし、子供にとってそれらの環境が減りつつあるので、想像をふくらませる場はあえてつくる必要性を感じます。また、思考力は読む・書く・聞く・話すのどの項目にも関連する、根底に必要な力です。国語だけでなく、生きていく上で必要な力と言えます。

まず、本の世界に入り込める想像力が大切だと思います。子供が好きな小説や物語は、現実とは異なる独特の世界観を持っています。その中に入り込めないと、その話が何を説明しているのか、何が面白いのか分からずに終わってしまいます。加えて、問題を解く際には、思考力も大切になります。なぜなら、「正しい答え」を導き出す必要があるためです。子供が「〇〇」と考えても、それは少数派の意見であって、多数は「△△」と考えるのであれば、「△△」と答えなければ点はもらえないためです。

国語には、集中力・忍耐力も必要です
教科という性質上、まずは、問題文を読む集中力と忍耐力が必要になると思います。わからない漢字や表現が出てきた際、すぐ諦めてしまう子、先に進めず、ずっとその箇所で止まってしまう子など、様々。ですが、わからないけどとりあえずその先を読んでみようと考える忍耐力がある子は、トレーニングによって、国語力は伸びると思います。
日常生活で培われる社会経験も大事に

教科しての問題を解く際には、想像力も必要になりますが、共感力も必要です。そしてそれらは、普段からのコミュニケーションが影響していると思います。現在、引きこもりだった生徒を数名担当していますが、彼らの持つ言葉のニュアンスが独特だなと感じることがあるのは、人と会話してこなかったが故に起こっていることだろうなと感じました。人とあまり関わらないと、自分以外の人間がどう感じるのかわからず、自分だけの考えに固執してしまいます。なので、この時の主人公の気持ちを答えよ、などの問題が不正解の事が多いです。逆に繊細な子は、相手の言葉を瞬時に受け止めて想像力をフル稼働させるので、国語力が高い子が多いと思います。

小学生になって国語力を伸ばすために、やはり、幼少期の体験「原体験」も、一つの重要なアクティブな要素であると思います。たとえば、キャンプを中心にキャンプファイアー等の火遊びをさせることにより、余計に創造力を高めることに繋がります。それが、集中力、想像力、考える力となって、国語力に備わってきます。幼少期の頃から様々な原体験をさせることで、国語力を含めた、子供の大きな成長を促し、実感することができると思います。

 

【国語の先生が回答】先生も悩む「小学校の国語教育」の課題

小学校における「国語」の指導を行ってきた先生からの回答では、およそ半数の方が、「問題回答への自由度の低さが課題」と考えていました。また、30%の方が、「作文(発信)は大事だが指導の時間が取れない」と思っています。

先生たちは次のように考えています

国語の「授業」では、色々な考えが発表されます。子供たちは、素直に自分の意見を発表しますので、多数派の意見も少数派の意見もあります。しかし、点数をつける「テスト」となると、正解・不正解の基準を設ける必要があります。国語の「テスト」の点数が良い子は、「多数派の意見」が何かを見抜くことができる子です。個人的には「テスト」であっても、子供が感じるのであれば、少数意見にも点数を上げても良いと思うことはあります。実際に、「こういう考え方もできるね」と思うこともあります。しかし、「テスト」では、往々にしてそのような考えは「×」です。そうすると、子供たちは自分の気持ちを押し殺して「多数派の意見」を探し出そうとします。それが果たして良いことなのかと思います。

作文や文芸創作の指導にまで手がまわらないことが課題だと思います。1クラスの人数が多いこともあり、作文を書いている最中に、ひとりひとりに寄り添って構成のイロハを教えることはできません。どうしても、生徒が書いたものに目を通して赤ペンでコメントを書き込むことがメインになってしまいます。また、読書感想文コンクールの宿題などは、小学1年生の夏休みにいきなり原稿用紙に文章を書くことになったりします。ご家庭での作文指導は難しいでしょうし、こうしたことの積み重ねが、子供たちの作文嫌いにつながっている気がします。
「国語」という教科の評価が、漢字や文法など、分かりやすいものに対する評価に偏ることが課題だと考えます。その背景には、「保護者への説明が必要になるかも」と考えることにもあります。そのため、誤字脱字や字数などの形式を中心にし、また一定の基準を設けて評価することになり、その基準に沿わない突飛だけど面白い発想は受け入れがたく、評価しずらくなってしまいます。しかし、自分の評価で子どもの芽を摘んでしまうことがないよう心がけています。

 

【備考】「書く」教育は家庭の日課のしたいところ

先生たちのこれらのコメントからも、「発信(書く)」ことが大事であること、また「集団教育」「教科」としての教育環境にも限界があることを伺い知ることができます。

長介も、「書く」ことを知ることは、文、話の構造を俯瞰的かつ深く理解するうえで大事な役割を担うと考えています。また、自分の思うところを自由に書き、想像力を形にすることも重要だと考えています。そのため、現在、家庭の知育活動では、「書くこと」を取り入れています。

先々の学校教育で時間が取れないならば、なんとか家庭で取り組むべきで、これを続けてみたいと思います。

 

いかがでしたでしょうか。

教科や日常生活でも発揮する「言語能力」を育てることは、大切なことです。

言語教育という括りで考えると、「英語」の学習にも相乗効果が得られますので、総じて言語の学習に取り組んでいきたいところです。

皆さまの知育活動の一助になれば幸いです。

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長介(ちょうすけ)
教育企業、外資系企業、サラリーマン、個人事業主を経験。子育てで消耗中、でも頑張れる。とにかく時間が欲しい。
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